【電子号外】靴磨き選手権大会2024 東京予選 大会レポート

【電子号外】靴磨き選手権大会2024 東京予選 大会レポート

靴磨き選手権大会2024 東京予選が10/12, 13に行われました。
この記事では、大会に行かれた方にも行けなかった方にも会場の熱気が伝わるようなレポートをお届けしたいと思います!
次の大阪決勝に向けて大会の見方が広がる助けになればと思います!!

大会のおさらい

靴磨き選手権大会2024は、福岡と東京で開催される予選会を勝ち抜いた精鋭中の精鋭12人が大阪で行われる決勝戦で火花を散らす、トーナメント方式で行われます。東京予選は参加者が32名から6名に絞られる狭き第一関門です。
32名の参加者は初日(10/12)で12名まで選出され2日目(10/13)の決戦で最終的に6名にまで絞られます。詳細な採点方式は過去の記事(こちら)や大会公式HP(こちら)に任せつつ、この記事では公式Youtubeのライブ動画と独自に現地取材した内容を織り交ぜてお届けしたいと思います。尚、主観的な個人の感想も含まれますのでその点はあらかじめご容赦ください。

大会初日(10/12)の結果、見どころ

福岡予選と同じく東京予選もハイレベルな戦いが繰り広げられました。
福岡予選でも感じましたが磨き手の個性の多様化が進んだ印象が強いです。技術が第一ではあるものの差別化をしなければ勝ち残れないことは福岡の結果を見ても明らかなわけで、個性が出やすいファッションや所作に焦点を当てるのは至極当然です。
もう1点ポイントを挙げるとすれば「会場との一体感」が重要になってきたと感じました。後段の結果でも触れたいと思いますが、靴磨きにもライブ感が求められる時代に突入してきたなと。東京会場は比較的コンパクトでもあったため、磨き手と観客がより密度高く時間を共有できており観客や場を味方につけた磨き手が勝ち抜いた感があります。

前置きが長くなってしまいましたが、この辺を踏まえてレポートを読んでいただくと新しい発見があるかも。

初日の結果:2回戦進出者


以下の12名の方々が2回戦に進出しました。
進出者全員をご紹介するのはスキル的にも難しいのでこの記事では特にインパクトが強かった点に絞ってお送りします。尚、テクニカルな点については解説である飯野高広さんのInstagram(こちら)にお任せすることにします。テクニックの妙やキラリと光るセンスについては是非インスタライブのアーカイブをご覧いただければと思います。愛が溢れていて超面白いので。

名前を呼ばれて選手控え室から駆けつける澤田さん。驚きと喜び、高鳴りが伝わるバックステージショット


まず、最も会場を驚かせたのは首位通過となった澤田一敢さんでしょう。大変失礼な物言いかもしれませんが正直初日1位通過を予想していた人はほとんどいないのではないかと思います。昨年のファイナリストやキャリア10年を超える選手をはじめ、強豪ひしめく東京大会での首位通過はインパクト十分でした。
磨きや佇まいは都会的で洗練されています。それに加え、今回は会場との距離も近く応援も大きな力にして邁進されていた印象がありました。JALサンライト関連の方々でしょうか、彼ら彼女らの応援を力に変えて結果を出す様は滾るものがあります。フライングしますが「靴ってサステナブル賞」も受賞されており、姿勢やスピリットが会場にも審査員にも響いたのではないかなと感じました。

続いては前回記事でもお伝えした冨ねぇこと、冨樫輝好さんです。なぜかプレゼンテーションタイムにコールアンドレスポンスを要求するパフォーマンスは大会通じて見たことがなかったです。

「誰のために磨くのか?」

改めて言葉にするととても重要な点な気がします。ある人は仮想の新入社員に、ある人は大切な常連のお客様に、ある人はご家族に。あの45秒で語られる想定顧客はもしかしたらそこまで深くイメージできていない場合もあるのかも知れません。そんな中で、バイネームで会場に語りかけ(なぜか挙手させ)、その人の貢献に感謝を示しながら磨きを説明することはとってリアリティを生んでいました。必見のパフォーマンスなのでまだの方はぜひYoutubeを見返してみてください。

その他、福岡大会に続き趣向を凝らした道具使いは進化を続けています。選手一人一人をご紹介すると尺がとんでもないことになってしまうので、ここではスナップショット的に気になった点をご紹介します。個人的にはネイルやメイクのように「何でもアリ」な世界観に突入してきたと思っていて、見ているだけで個性が伝わってきます。

小川さんのポリッシンググローブ。料理用ミトンみたいなやつです。表面積が大きく力を比較的均一にかけられ、手が汚れないのでうっかりミスで仕上げを害することが少ない一品。北海道予選から勝ち上がってきた清水さんも序盤で使われていました。

最長記録を更新したのは熊田さんのバズーカ、もといアトマイザーでしょうか。こんな高さが必要なのか?と思わずツッこんでしまいそうになる絵面です。ミスなく磨きを進めるためには水の供給も重要ということで水の成分にもこだわる方もいらっしゃいました。

最大の見どころ

選手や会場の紹介ではないので悪しからず。初日最大の見所は「殿」です!
ご存知ない方のために説明します。「殿」とは東京予選出場選手である熊田圭一郎さんが営む熊田靴店の看板わんこです。
殿が本体といっても過言ではない、と言われるほど数多くのファン = 太客を抱える靴磨き業界No.1のイケメンです。

今年は東京会場が屋外に面していることもあり、なんと殿がおわしました。そんな殿とのお戯れは初日一の見どころに違いない。ということで、ここからは殿のオフショットをお届けします(わんこに興味が無ければスルー推奨です)。

大名が移動する時の駕籠(かご)の如く堂々たる登場シーン。威厳とラブリーさたるや、二物を与えられてしまっています。

店主の熊田さんとのツーショット。殿は基本落ち着いていらっしゃる。何事にも動じないのである。

はい、可愛い。

ちょいワルな殿。Tシャツにしたら多分売れる

会場限定グッズ

実際に見て触って購入できるところもオンサイトならではです。
特にイチ運営として売れ行きに驚いたのは「レザーマット」です。圧倒的No.1の人気商品でした。
新喜皮革さんや栃木レザーさんをはじめとしたタンナー各社協力の下、靴磨きに使える大判サイズと使い勝手の良い小さめサイズの2パターンで会場限定販売です。一つとして同じ色、風合いが無いのでぜひ会場でお手にとってみてください!

左:会場限定販売のレザーマット。デスクマットサイズとマウスパッドサイズの2種類。右:ブラシや磨き布、シューズバッグなど大会限定商品をはじめ展開(リンク

大会2日目(10/13)の結果、見どころ

初日の激戦を勝ち抜いた12名によって争われる2日目。グループA、Bの2つに分かれ、それぞれのグループで上位3名、合計6名がファイナル進出となります。6名中3名。最も過酷な1/2が行われます。初日同様、結果から見ていきます。

2日目の結果 | Final Round進出者

テクニカルな観点は前述の通り飯野さんのInstagramに一任するとして、個人的注目ポイントを勝手にご紹介したいと思います。

2日目の見どころ | コードバンとの向き合い方

特に面白かったのはグループBのお題「コードバン」に対する向き合い方でしょう。非常に希少なお題でもあり、この出題には選手の経験やアドリブ力が存分に試されたのでは無いでしょうか。用意してきたものを出すというより、常日頃からのスタンス、ツールワークが勝敗を分かつ鍵だったのでは無いかなと思います。

まず選手毎に特色が出た「かっさ棒」使いです。マッサージとかにも使われているあの棒。コードバンの毛を寝かすために用いられるのですが、このツールワークは見どころです。相賀さんのプレゼンテーションにもありましたが、靴の左右差を考慮した時間と手間のかけ方は興味深いです。説明もとてもわかりやすいので是非ご覧いただければと思います。
ツートン木嶋、いやグラデ嶋さん(木嶋さんです。詳しくは動画にて)は美顔ローラーのようなメタルかっさ棒で登場しました。秘密兵器かと思いきや、持ってくるのを忘れてロフトで目のクマとり器を持ってくるのだからアドリブが効いています。さすが群れる馬と書いて群馬の代表です。インタビューは間違いなく面白さNo.1なので必見です!

そして「どんなテイストに仕上げるか?」が興味深いポイントでした。色合いを赤系に寄せていくのか、茶系に寄せていくのか。重厚感あるボトムラインをどっしりと見せグラデーションを活かすのか、それとも全体を艶やかに仕上げるのか。非常に個性や好みの分かれるところだと思いました。かなり個性が分かれる磨きになっていると感じたので、こちらもぜひ動画でご覧いただければと思います。

画像は熊田さんの磨いたコードバン。選手全員が思い思いのコードバン仕上げをしていてツヤッツヤしてます



素人目線、個人的な主観が多分に含まれている点はご容赦いただくとして、大会の臨場感が少しでも伝われば嬉しいです!
次はいよいよFinal Roundの大阪大会。と、その前に次回は「番外編 | 東京予選の夜」をお届けします。

KIEKO

靴磨き、レザーケア用品の専門店であるLiriche(リリシェ)のオーナー プロ仕様の商品開発経験を活かして靴磨きやレザーケアに関する専門的な情報を発信します!

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